明け方のレイファンの屋敷。
この季節、既に明け方の時間でも外は明るく、朝日が差している。
「明るくなってきましたねぇ〜」
屋敷に続く道を、黒い服に身を包んだ女が歩いていた。
彼女の名はリシエル。レイファンの家にメイド達と共に住んでいる女性である。
本人もメイドの筈なのだが、何故か仕事は殆どする事がなく、出来ない訳ではないのだがレイファンに命令された事も他のメイドに文句を言われた事も無いので、本人も既に仕事をしなくて当然だと思っている。
故にメイド達の中では浮いた存在で、自分用のメイド服もプレイの一環という目的でしか着た事無いのであった。
「ああ、重い〜」
リシエルが背中に背負っている大きなカゴを揺らすと、中からはゴロゴロと何かが転がる音が聞こえる。
音が鈍くはっきりしないため、入っている物が何かは良く解らない。
「まっててね〜、家に帰ったらいろいろ加工したげる〜っと・・・・只今戻りました〜」
レイファンの屋敷の前まで辿り着いたリシエルは大きなドアを勢い良く開けて、家にズカズカと脚を踏み入れる。
まだ明け方なので、静寂の中、少しやかましい。
「あらら、鍵開いていたじゃないですか、不用心ですねぇ」
開けて、尚且つ屋敷に入ってから言うあたりがリシエルらしい。
「あ、リシエル様、おはようございます〜、おかえりなさいませ」
屋敷の中で一番朝早く起き、掃除をしていたリサは入ってきたリシエルを見て少し驚くも、笑顔で挨拶をする。
モップを片手に床を念入りに拭いていたのだろう、既に広い玄関内の殆どがピカピカに光っていた。
「あらら、こんな時間に起きてお掃除ですか〜、まだ明け方なのに、大変ですよね」
「でも、キレイにしておいた方がいいじゃないですか、みんなも悦びます」
笑顔でリシエルを見上げるリサ。
リシエルは思わずその愛らしい額に唇を押し当てた。
「きゃ・・・・」
「可愛いですねぃ、うんうん、いい子いい子」
唇を離し、軽く頭を撫でてやる。
「みゃぁ・・・・」
リサはリシエルと一緒に居ると、いつもどきどきしてしまう。
リシエルは常のおかしな行動を取る人なので、二人きりだと常にリシエルの事が気になってしまうのだ。
これはひょっとして恋なのだろうかと思った事も有る。
答えは、「それは絶対に違う」のだが。
「あ、あの、レイファン様が、用事があるみたいなんですけれど」
「用事? なんだろう・・・・でも、お嬢様の事だからまだ寝てるでしょ?」
「ええ・・・・・・っていうか、私以外全員眠ってますけれど」
「まぁ、こんな時間ですからねぇ、季節が季節ならまだ暗闇でしょう」
リシエルは大きな窓から差し込む光を見つめながら言った。
「まだ、全員眠っているんですよね?」
「ええ、そのハズです」
「まだ朝まで時間がありますね」
「ええ、ありますね」
リシエルの瞳が、足の先から頭の上までリサの全身を舐めまわすかのように見つめる。
「据膳食わねばなんとやら、頂きます」
「へ?」
リサが「しまった」と思った頃には既にリシエルの腕はリサの胸に伸びていた。
「きゃ、リシエル様っ・・・・」
「うふうふ、昨晩はしていないので、ちょっと溜まっているんですよ、ごめんなさいね」
両胸を乱暴に絞り上げながらリサの耳もとせ囁くリシエルの声は、明らかに欲情していた。
解るのだ。今まで長い間同じ所で暮らしているのだから。
普段喋る時とは違い、息が少し荒く、声も少しだけだがかすれている。
「相変わらず大きな胸ですね、ミルクが溢れて来そうですよ、お嬢様みたいに」
「ふええ・・・・」
「でも、何でしょう・・・違う人の匂いがしますね」
「さ、さっき、シャ、シャワー浴びたのに解るんですかぁ・・・」
「私を誰だと思っているんです? 疾風のリシエルといえばこの辺りに少しは名の通った・・・」
「そんな異名、初めて聞きますよぅ」
「私も初めて言いましたね」
リシエルの思考というのは、ホント、解らない。
自分より頭が良く、美しく、全てにおいて自分より上であるリシエルに、リサは憧れの念すら抱いている。
他のメイド達と違い、正体が良く解らないのもミステリアスで、また、イイ。
だが、変だ。
「そういえば、帰ってきた時から感じているんですが、おかしな気を感じますね、何ですか? コレ」
リシエルはリサの胸の感触を楽しんでいた手を止める。
「実は・・・・」
リサはリシエルが手を止めた事で「助かった」反面、「少し損したかな」と思ってしまった。
そんな自分は、やっぱり、いやらしい娘なのだろうか・・・・。
「ルキナさん、ねぇ・・・・」
リシエルはリサから大体の事を聞いたのだが、リサの話もレイファンから聞いたものなので多少の湾曲はある。
まぁ、概ね正確に伝わっているので特に問題は無いだろう。
「ふふ、凄いね、リサとリップスを同時に犯して、攻めている筈のジルを絞り尽くして、最後にラミューレをラミューレ自身の精液でドロドロに・・・・ああ、思い浮かびますねぇ」
「ホントに、凄かったです・・・中でウネウネ動いて・・・・」
リサが顔を赤らめながら股間をスカートの上から抑えた。
思い出すだけで、また濡れてきてしまう。
「くくっ、ラミューレなんていつものようにペニス苛められながら悦んでいたんでしょうねぇ、あの娘ってばペニスで相手を突きまくるのが好きなくせに、逆にペニス責められたりするとすぐ猫になっちゃうんだから」
「はい、その通りです」
「何にしろ、今晩が楽しみだね、ベッドの横に撃墜マーク1個追加です」
「そんなの、点けていたんですか?」
「いや? 付けてませんが」
本当に、リシエルとの会話は疲れてしまう。
でも、憎めない。
太陽が照り付け、風も温かくなってくる頃、他のメイド達もやっと目が覚めた。
ジル、ラミューレ、リップスの3人はまだ掃除をしていたリサを手伝う。
レイファンも目の下に小さなクマを作ってはいるが、どうにか起きてきたようだ。
毎晩毎晩、ルキナを送り返す魔法の修得の為に遅くまで起きているせいなのはメイド達の誰もが知っていた。
「あ、レイファン様、おはようございまーす☆」
普段は可愛いリサの元気な声が、寝不足の頭には少し痛い。
「あ、レイファン様、おっはよーです☆」
普段も変なリップスの元気を通り越した甲高い声が頭にかなり痛い。
「レイファン様、おはようございます」
「おはようございます」
微笑んで会釈するジルとラミューレの声は、低い為かあまり頭に響かない。
「おはよ〜ございます〜」
間延びした口調でレイファンがメイド達に答えた。
「おはようございます、お嬢様」
良く見ると、リシエルまでメイド達に混じっていた。寝ぼけているせいで気付くのに数分を要したのだが。
レイファンはリシエルを見た瞬間に眠気が一気に覚め、覚醒した。
リシエルを対ルキナ用に投入し、必ずあのナマイキなフタナリメスガキを手込めにして大人の怖さを見せ付けてやらなくてはならないのだ。
昨晩返り討ちにあったメイドは4人。しかしリシエルは5人を相手に全員を失神させた事が有るのだ。
「リ、リシエル、い、いったい、何処へ行っていたんですか」
「リンゴ狩りに行ってきました、空気が美味しかったです」
「はぁ? ・・・・・・リンゴ狩り?」
「そうです、リンゴ狩り」
「何でそんなもの・・・・」
「そ、そんなもの!? 今、そんなものと言いましたね!?」
「え・・・ええ・・・」
「いつも美味しいアップルパイとアップルティーが作れるのは、このリンゴのお陰なのです! このリンゴ、そのまま食べてもイマイチですが、熱を加えて加工すると甘酸っぱさが際立ち、なんとも言えぬ味になります! お嬢様がいつも美味しいと言って食べているアップルパイは、殆どこのリンゴですよ」
「そ、そうなんですか・・・・」
早口で話すリシエルに、レイファンは圧倒されて、何か反論するのは危険だと感じた。
逆らうとまたアップルティーにクスリを盛られてしまう。
「それはそうとリシエル、実は、折り入って頼みがあります」
「何ですか?」
「実は・・・・・・と、その前に、朝御飯食べたいですね」
「はぁ〜い、急いで作りま〜す☆」
メイド達は掃除の手を止め、厨房へと走り去っていった。
レイファンとリシエルもゆっくりと食堂へと歩き始めた。
メイド達があわただしくテーブルに食事を並べ始めると、途端にテーブルの上は華やかになる。
いつも統一間は薄いのだが単品では非常に美味しい料理であり、今日もそれについては例外ではない。
「お茶漬け、食べますか?」
「はい、朝はお茶漬けがいいですね・・・そうだ、メスガキ・・・・いえ、ルキナさんもそろそろ呼んできて下さい・・・そうですね、リップスにお願いしましょうか」
「は〜い、行ってきます〜」
リップスはすぐに走って食堂を出ていった。
ルキナの部屋へ行く間、昨晩の事がリップスの脳裏を過ぎった。
自分とリサを同時に犯し、責めようとするジルを返り討ちにしてしまうルキナ。
あの自分より年下であろうあどけない表情が、抱かれている時はとてもいやらしい物に感じてしまう。
あどけなさの内に秘めた、レイファンやリシエルとは性質の違う色香がまた、良いのだ。
「でも、すっごい絶倫だから、リシエル様1人で大丈夫かなぁ・・・・」
ちょっと不安になりながらも、リップスはルキナの寝室として使われている空き部屋のドアノブに手をかけた。
リシエルが「凄い」のはリップスも今までの経験から承知しているつもりだ。
昨晩のルキナくらいの事はやってのけるだろう。
しかし、ルキナの精力は未だ、未知数だ。
何故なら昨晩のルキナには余裕が感じられたからである。
「ルキナさ〜ん、お目覚めになりました?」
リップスがドア越しに声をかける。
・・・・・が、返事はない。
「ルキナさん? ・・・・失礼します」
リップスはドアを開け、部屋へと足を踏み入れる。
大きなベッドに、ルキナが薄い布団を被って眠っているのが目に入った。
すぅすぅと寝息を立てて、気持ち良さそうに眠っている。
「まだお休み中かな・・・・あ、かわいい☆」
リップスはルキナの寝顔を覗き込むなり、黄色い声を上げる。
ルキナの寝顔はまだ子供のようで、とても昨晩の宴の中心とは思えないほど、無垢であどけない。
「身体は充分オトナなのに、顔はなんだか可愛いんだぁ☆」
「んくぅ・・・・すやすや・・・・」
「ルキナ様、あさごはんですよぅ」
リップスは微笑みながらルキナの頬を指でつついて遊ぶ。
「ふみゃぁ・・・・」
ルキナは首を横に振ってリップスの指を逃れようとするが、いかんせん眠っているのでなんだか良く解らない動きをしてしまう。
指から逃れてもまた元の位置に戻ってしまうので、余計に指が頬に突き刺さってしまうのだ。
「あはは、ほっぺた、ぷにぷにしてる〜」
「ふにゃぁぁ・・・・・ふぁぁ・・・・」
ルキナは大きく欠伸をして、ゆっくりと目を開けた。
慌ててリップスは指を引っ込め、ルキナに笑顔を向ける。
「ルキナ様、おはようございまーす」
「はにゅっ? お、おはよう〜」
朝がちょっと弱いのか、ルキナは目を指でこすりながらリップスの方を見た。
「はにゅにゅ・・・・リミュールさん・・・・だっけ?」
「ま、混ざってますよぅ、全員・・・・リップスです、リップス」
「あ、ごめん〜・・・・ふにゃぁ」
納得したのか、ルキナはまた安心して横になってしまった。
これでは当分起きそうに無い。
「もう〜、ルキナ様ったらぁ・・・・・ま、いいか」
ルキナ抜きの食事が終わり、一息ついたレイファンはリシエルに彼女の部屋で事情を説明した。
「というわけで、あのルキナというメスガキを手込めにして下さい」
「ん・・・・まぁ、事情は理解しましたが、何故、手込めに?」
「うう、あ、あの小娘にギャフンと言わせるんですーっ! あまり聞かないで下さいっ!」
「何故?」とは、メイド達にも聞かれた事だ。
もともと、これはレイファンの個人的逆恨みから来る行動なので他の者が疑問に思うのも当然である。
「むきーっ、あいつは絶対手込めにしてやるんですーっ!」
「はいはい、わかりましたよ、お嬢様」
リシエルがそう言いながら、血の昇っているレイファンのあたまを優しく撫でてやると、レイファンは大人しくなって上目遣いにリシエルを見つめる。
「もう、どっちが子供なんだか☆」
リシエルはレイファンの頭を胸に抱き、さらに優しく頭を撫でまわす。
「ふみいぃぃ・・・・」
「あはは、可愛い可愛い、お嬢様」
「みゃーっ」
「今夜、やりましょう、丁度お嬢様に使おうと思っていた特別性の媚薬もありますし」
「え? 私に・・・・? つ、使う・・・・!?」
「あ、やば、言わなきゃよかった・・・・・」
「こ、このアマ・・・・・」
「あは、あはははははは・・・・」
気まずい空気が流れる。
今までレイファンは何度と無くリシエルに媚薬を盛られ、その肉体を弄ばれてきたのである。
「あっはははは・・・・・では、今晩、ルキナさんをヤっちゃいますね〜」
恐くなったリシエルはレイファンを置いて足早に自室を出ていった。
「・・・・いつかリシエルにクスリを持ってやるぅ・・・」
夜になるとメイド達も各々に自由時間を過ごし始める。
リサとリップスは談笑しながらお菓子を食べているし、ジルとラミューレは2人でまた良くない事でも話し合っているのだろう。
レイファンは部屋でルキナを送り返す魔法の研究にいそしんでおり、そしてリシエルは・・・・。
「ふふ、さぁ、採れたてのリンゴ果汁たっぷりのアップルティーも用意したしぃ〜、これでルキナさんもイチコロですっ!」
ルキナとリシエルは、夕食時に対面したのだが、2人ともちょっと変な性格のせいか、意外と話があった。
リシエルはルキナの巨乳や2本のペニス、そして触手化している右腕に驚くが、異世界の住人と言う事でどうにか納得出来た。
自分の世界には「同じ生物とは思えないほど凄い」も結構要るので、ルキナは可愛い分、好きになれた。
「ルキナさん、起きてますか?」
「は〜い、起きてるよ、どうぞ」
リシエルがルキナの部屋のドアをノックしながら声をかけると、部屋の中からルキナの返事が返ってきた。
「アップルティーでも飲みませんか? 今日の朝に持ってきたリンゴを使ってますから、美味しいですよ」
「良く解らないけれど、美味しいなら頂くよ」
リシエルはルキナの部屋にある小さなテーブルに綺麗な花の模様をあしらった2つのティーカップを置き、冷たいアップルテイーを注いだ。
ルキナのティーカップには彼女に見えないように媚薬を注いである。
「さぁ、どうぞ」
「うん、うんっ」
ごく・・・・こくん、こくん。
ルキナは美味そうにアップルティーを飲み干していく。
確かに、リシエルの言うとおりこのアップルティーは美味いのだ。
リンゴにこだわりを持つリシエルならではの味である。茶葉はメイド達が選んでいるのだが。
「どう・・・ですか?」
異世界の客人にいきなりクスリを盛ると言う事なので、レイファンに盛る事には抵抗無いリシエルも、さすがに少し緊張している。
「うん、美味しかったよ、ちょっとだけ余計な味がしたけれど」
「・・・・・・!?」
リシエルは、一瞬目を見開いてしまう。
用意した媚薬は一応無味無臭のはずであった。
だが、無味であるはずの限りなく微妙な味を目の前に居るルキナは見抜いてしまっているのだ。
「ねぇ、リシエルさん・・・ボク、なんだかいやらしい気分になってきちゃった・・・・」
頬を赤らめてリシエルを見つめるルキナを見てどうやら何が入っていたかは気付いていないのだと察したリシエルは、気を取り直し、ルキナの傍へ寄る。
媚薬は即効性。たとえ気付かれていたとしてももう遅いのだ。
「今日は私がお相手をします・・・・フフ」
リシエルの両手がルキナの頬にあてがわれ、そのまま唇を重ねる。
このまま媚薬に溺れるルキナをたっぷりと可愛がろうと重い、ルキナの唾液を口内に吸い上げた。
だが。
だが、それがルキナの狙いだった。
「んふっ、んふぅぅっ、んちゅぅぅうぅ・・・・うふふ、リシエルさん、さっきの、返すね」
「え・・・・?」
「ボクね、こういう薬は身体のなかで分解する事ができるんだよ・・・・再構成して、リシエルさんにあげるね」
「ふぇぇぇ・・・!?」
慌ててルキナから唇を離すが、もう後の祭りだ。
リシエルが自分でルキナから吸い上げた唾液には先ほど盛った媚薬がたっぷりと入っていたのだ。
「あ・・・ああ・・・・・・」
心臓の鼓動が早まる。
媚薬が身体を駆け巡り自分自身が欲情して行く事・・・・それが解るのだ。
まずい、リシエルはそう感じた。
「さぁ、リシエルさん、お相手お願いするよ☆」
これが、リシエルの数少ない誤算だった。